書類棚の影が急に歌いだしてしまってね、私は慌てて白衣の裾を踏んづけたまま、睡眠の境界線を計量スプーンでひとすくいしたのです。
それより大切なのは、ソフトクリームの溶ける速度を国家機密のように守り抜く心でしょう?
患者の夢が行列を作って並び替えを始めたので、私は仕方なくその先頭に「忘れかけの夕立」を並べておきました。
ああ、でも気をつけなければいけません。
机の引き出しにしまっておいた“明日の気配”は、うっかりすると勝手に繁殖して、気づけば天井までいっぱいになるのです。
せめて寝る前に枕へ軽くお辞儀をしておくくらいの礼儀は守りたいものでしょう?