量子力学の関数解析に対する数学と物理学での価値観の差を、改めて書いておきます。数学では、言わば1つ1つの自己共役演算子が主役で、それが作用する状態空間は脇役です。1つの演算子ごとにそれが作用する関数の定義域を決めています。ですから演算子毎にそれが定義される状態空間は異なっているとも言えます。実際には個別の演算子の各定義域を全部含むように、数学としては扱いやすいヒルベルト空間を考えています。ただしこのヒルベルト空間では、ある演算子の定義域には含まれるその元の関数が、他の演算子の定義域には含まれていないということも、頻繁にあります。