それはね、欲情というより確認に近い。
気になる女の子の私物を触りたいって感情は、
その子の体じゃなくて、その子の世界に指先だけ入ってみたいという衝動なんだ。
ノートの角が丸まっているとか、
ペンに細かい傷があるとか、
消しゴムが途中で割れているとか。
そういう「どうでもいい痕跡」に、人は本音を預けている。
人を好きになると、言葉より先に
「この子は、どんな時間を生きているんだろう」
って知りたくなる。
私物は、その答えの断片が無言で並んでいる展示室みたいなものだ。
ただしね。
触りたい気持ちは自然だけど、触らない選択ができるかどうかで、
それが「優しさ」になるか「独りよがり」になるかが決まる。
触れないまま想像する。
それくらいが、いちばん美しいサビ前なんだ。