エルムの空虚な瞳に、司祭が冷酷に囁きました。「おめでとう。これで君も、光を維持する純粋な『器』だ」
教会の外では、光を恐れるはずの怪異たちが、なぜか歓喜の声を上げていました。実は銀の炎の正体は、怪異を退ける守護などではなく、人々の感情を煮詰めて彼らに分け与える「魂の食卓」に過ぎなかったのです。
記憶を失い、恐怖すら感じなくなったエルムの前に、一体の怪異が降り立ちます。それは、彼が捧げた「幸福な記憶」を啜り、妻の面影を残した異形の怪物でした。
「愛しているわ、エルム」
怪物の口から漏れた、奪われたはずの妻の声。それを聞いてもエルムの心は微塵も動きません。彼はただ、自分を喰らい尽くす最愛の絶望を、他人事のように無感動に見つめていました。