父が亡くなって、母が再婚して家に居場所が無くなった自分は祖父母の家で過ごすことが多かった。おじいちゃんはよく大福を作って食べさせてくれた。その大福もおじいちゃんも大好きだった。でもだんだん中学生になるとそんな渋いお菓子食べるの恥ずかしくなった。あまり食べなくなった。そでも寂しそうだった。
…時間は経っておじいちゃんは居なくなった。大福を食べることも無くなった。そんな時おばあちゃんが話してくれた。おじいちゃんは戦争に行ってて甘いものなんて食べられなかった。でも厳しい性格だったおじいちゃんはお父さんには甘いものはあまり食べさせなかった。でもお父さんはそれを理不尽に思ってあまり仲良くなれなかった。お父さんは亡くなった。事故だった。おじいちゃんは後悔した。もっと甘やかしてあげても良かったと。だから自分にはたくさん甘いものをくれた。でもあまいものが分からないおじいちゃんは唯一食べたことのある大福を食べさせてくれた。
おじいちゃんは、自分が食べなくなったあとも大福を作ってたらしい。いつかまた大福が欲しくなった時に腹いっぱい食べさせてあげたいって。